結婚7年目、夫という「宇宙人」から「愛すべき異文化交流」という名の夫婦へ。〜ユングのタイプ論で解く愛の正体〜

人を理解する

結婚して7年。 夫のことは大好きだし、一緒にいればずっと笑い合っていられる。私にとって、夫婦は一番安心できる場所。

だけど、どうしても拭えない違和感があった。 彼はとても優しい。それなのに、どこか本質的な部分で「優しくない」と感じてしまう瞬間がある。 特に、生活のことや不妊治療のことなど、二人で未来を見据えなきゃいけない大事な場面で、彼は決まって一歩引いたような、どこか他人事のような態度を取る。

私はずっと、彼を「冷たい」とか「無責任」だと解釈して、一人でイライラを溜め込んでいた。

私たちのOSは、根本から違っていた

その違和感の正体が判明したのは、私が公式のMBTIセッションを受け、**ユングのタイプ論(認知機能)**という「心の仕組み」に出会ってからだった。判明した私たちの「心の利き手」は、こんなにも違っていた。

・ 私(INFJタイプ): 常に「未来の意味や成長(Ni)」を見つめ、それが「周囲とどう調和するか(Fe)」を優先して考える。

・ 夫(INFPタイプ): 何よりも「自分の価値観(Fi)」を大切にし、そこから広がる「可能性(Ne)」を信じて動く。

並べてみると、最後のJとPが違うだけ。けれど、その中身は全く別のOSで動くコンピューターのようなものだった。

「何言ってんだこいつ」の裏側にあったもの

私はいつも、5年後、10年後のために「今、こうしなきゃいけない」と必死に計画を立てて動く。対する夫は、その時の自分の心が「しっくりくるか」を大事にするから、私の計画を平気でスルーして、今この瞬間の心地よさを優先したりする。

先を見据えて動かない彼に対して、私は何度も心の中で叫んでいた。

「何言ってんだこいつ。こっちは二人の未来のために必死なのに!」

でも、認知機能の仕組みを知った時、衝撃が走った。

「考え方が根本から違う人間がこの世にいるだと……!?」

あの時の彼の言葉が全く違う意味を持って響いてくる。私が未来のために自分を削ってボロボロになっていた時、彼はよくこう言っていた。

「しんどくないの?もっと自分のこと考えたら?」

当時は「無計画で現実逃避」にしか聞こえなかった。でも本当は、自分の気持ち(Fi)を置き去りにしがちな私のことを、彼なりに必死に救い出そうとしてくれていたのだ。

違いは「攻撃」ではなく「補完」

彼は冷たいんじゃなかった。私には見えていない「自分の心を守る」という、人間として一番大切な感覚を、彼はその身をもって教えてくれていた。

それがわかった瞬間、あんなに腹が立っていた彼の「マイペースさ」が、急に愛おしくなった。「あ、この人は私とは違う言語で、私を大切にしてくれていたんだ」

もちろん、今でも「ちょっとは先を考えてよ!」と毒を吐くことはあるし、彼も私に鍛えられて、少しずつ未来を見据える力がついてきた(笑)。

自分とは全く違う思考回路を持つ人と過ごし、自分にない視点を取り入れる。人間嫌いになりかけていた私にとって、この「異文化交流」こそが、人間として生きる面白さの一つなんだと思えるようになった。私たちは、違うからこそ、二人で一つになれるのかもしれない。

【ぽっくり死ぬ研究所:研究ノート】

今回のエピソードで鍵となったのは、スイスの心理学者C.G.ユングが提唱した「タイプ論」に基づいた心の仕組みです。私たちはそれぞれ、無意識のうちに優先して使っている「心の利き手(認知機能)」を持っています。

私は**Ni(内向的直観)を主機能とし、常に「物事の本質や未来の可能性」を一点に見つめます。対して夫はFi(内向的感情)**が主機能。何よりも「自分の心がどう感じているか、その純粋な価値観」を大切にします。

主機能(最も自然に使える力)の違い

「正しさ」の衝突

私が「未来のために(Ni)」を正義とした時、夫が「自分の心のために(Fi)」を優先すると、私にはそれが「無計画」に見え、夫には私の計画が「心の不在」に見えてしまっていたのです。

統合という癒やし

ユングは、自分とは異なる機能を持つ存在との出会いを、自己成長(個性化)の重要なプロセスとして捉えています。夫が私の「置き去りにした心」を拾ってくれたように、違うOSを持つからこそ、私たちは自分一人では到達できない「健やかな生」を補い合えるのだと考えています。

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